2010/9/17 6:06 日本経済新聞
自転車を地域の新しい公共交通手段に育てようとする取り組みが近畿の自治体や企業に広がってきた。
堺市、神戸市、滋賀県草津市などが、通勤・通学や日常の買い物といった住民の移動手段としての利用を促す支援を開始。
二酸化炭素(CO2)排出量削減だけではなく、自転車専用道などの整備と併せて、地域産業や街の活性化につなげようとの狙いがある。
観光地でレンタサイクルを導入する例はこれまでもあったが、ここにきて近畿では、地域住民が環境負荷の小さい自転車を利用しやすくする街づくりに取り組み始めた。
バスや電車といった公共交通網を新たに整備するのは財政的にも困難なことも背景にある。
滋賀県草津市は地元企業と協力して通勤の際にマイカーを使用している人の自転車への乗り換えを促す。
10月1日から希望する事業所に電動アシスト自転車30台を無料で貸し出す。
片道2キロメートル以上をマイカーなどで通う従業員に使ってもらう。
同市では今回の取り組みを通じ、「自転車リースや販売会社などを誘致したい」(環境課)と、自転車関連の産業集積を狙う考え。
事業は2011年度まで続ける。
堺市は9月から通学・通勤者などが自転車を共同利用する「コミュニティサイクル」の運用をスタート
南海線堺東駅など市内の鉄道4駅付近に専用駐輪場を設置し、合計410台の自転車と40台の電動アシスト自転車を配備。
自転車は1日300円で、どこで借りても別の場所で返却できる「乗り捨て方式」だ。
堺市が導入した自転車は主要部品を市内で製造し、市内で組み立てた堺製を使用したのが特徴。
堺市は自転車の完成品、部品出荷額の国内シェア約4割を持つ。
市は「堺製自転車の良さを知ってもらう」(自転車まちづくり推進室)と、地元活性化を期待する。
神戸市は10月3日から11月28日まで、コンビニなどで市民に自転車を貸し出す社会実験を実施する。
JTB西日本(大阪市)に運営委託し、街の活性化やCO2排出量削減につながるかを探る。
新神戸、北野、元町、三宮などの6カ所で貸し出し、借りた場所と別の拠点に返せる。
最初1時間は無料。
矢田立郎市長は「実験の結果をもとに事業化を検討したい。
自転車専用道路の整備も進めたい」と話す。
自転車を利用しやすい街づくりも始まっている。
京都、大阪のベッドタウン、滋賀県守山市は起伏が少ない市内の地形を利用して自転車専用道
路を整備する。
堺市も来春、市北部に460メートルを開通させる。
近畿地方整備局は草津市南草津地区の国道1号の300メートルで歩道と自転車専用レーンを分離する整備を実施。
同地区は立命館大学やパナソニックの事業所があり、バイクやバスから自転車に乗り換える人が増えている。
京都市も11月、御池通に自転車専用レーンを試験的に設置する。
同市の人口の1割は学生で自転車で移動する人も多い。
公共交通に詳しい京都大学工学研究科の中川大教授は「商店街での買い回りなど、1キロメートル前後の移動には徒歩や鉄道・バスよりも自転車の方が便利なことが多い。
レンタサイクルの普及や駐輪場の整備は商業地の活性化につながる」と話す。
0 件のコメント:
コメントを投稿